セキュリティ通知やGitHubのアラートで GHSA-vcvr-r3jv-pc5j のような番号を見かけたとき、知りたいことは3つです。自社のNext.jsは該当するのか。該当するなら何番に上げればよいのか。急ぐ必要があるのか。
この記事は、2026年にNext.jsで公表された脆弱性を番号ごとに一覧にし、この3つをその場で判断できるように整理したものです。番号で検索してたどり着いた方は、一覧表から該当の行を探してください。
先に、要点をまとめます(2026年10月2日更新)。
- いま当てるべき修正版は、16系なら16.3.8、15系なら15.5.27 です。9月30日の定期リリースで7件が修正されました。前日の16.3.7には修正は入っていません。14系以前は公式のサポート対象外で、修正版は原則として提供されません
- 予告されていた9件のうち、Critical 1件とHigh 1件は修正が延期 され、後日のリリースに回っています(10月2日時点で日付は未公表)
- 公表直後の脆弱性は
npm auditに出ません。9月22日公表の GHSA-vcvr-r3jv-pc5j はデータベース登録が9月30日で、9月30日公表の7件は10月2日時点で未登録です。公表から数日〜2週間ほどは、公表元を直接確認する必要があります
いま当てるべきNext.jsの修正版は?
2026年10月2日時点では、16系は16.3.8、15系は15.5.27が最新の修正版です。いずれも9月30日の定期リリースで公開されました。
直近の修正版を系列ごとにまとめると、次のとおりです。
| 系列 | サポート状況 | 最新の修正版(10月2日時点) | 公開日 |
|---|---|---|---|
| 16.x | Active LTS | 16.3.8 | 9月30日 |
| 15.x | Maintenance LTS(2026年10月21日まで) | 15.5.27 | 9月30日 |
| 14.x以前 | サポート対象外 | 原則なし | なし |
9月30日のリリースは、当初「16.3.7と15.5.27」と予告されていましたが、9月29日に不具合修正だけの16.3.7が先に出たため、16系の修正は16.3.8になりました(事前告知の追記)。16.3.7で更新を止めている場合は、16.3.8まで上げる必要があります。7件の条件と判定方法はNext.js 16.3.8・15.5.27の脆弱性7件|9月30日の修正に自社が該当するか設定で判定するで詳しく扱っています。
15.5.26は、9月22日の臨時リリースで出た版です。この時のRCE(GHSA-vcvr-r3jv-pc5j)は15系には影響せず、15.5.26には関連する堅牢化だけが入っています(Next.js公式の告知)。
15系は2026年10月21日でサポートが終わるため、10月下旬以降に公表された脆弱性には修正版が出ない前提で考えます。移行の判断はNext.js 15のサポート期限は2026年10月21日|EOLで何が起きるか・16への移行で決めることで整理しています。
2026年に公表された脆弱性の一覧
2026年1月から9月までに、Next.jsのリポジトリでは41件のセキュリティアドバイザリが公表されています。多くは定期リリースでまとめて修正され、8月と9月は臨時のリリースも出ました。
以下は vercel/next.js のSecurity Advisories を2026年10月2日に取得して整理したものです(9月30日公表分の修正版は、アドバイザリの欄が未確定のため リリースノート で確認)。日付はアドバイザリの公開日(UTC)で、深刻度はアドバイザリの表記に合わせています。「内容」の列はアドバイザリの見出しを日本語にしたもので、該当する条件の詳細は各アドバイザリ本文で確認してください。
9月30日:定期リリース(16.3.8 / 15.5.27)
| 番号 | 深刻度 | 内容 | 修正版 |
|---|---|---|---|
| GHSA-cjq9-62q9-8jv4 / CVE-2026-94483 | High | images.remotePatterns で許可した外部ホスト経由の、Image OptimizationでのSSRF | 16.3.8 |
| GHSA-4jqv-mc3x-m676 / CVE-2026-94543 | Medium | セルフホストのPages RouterでのSSG・ISRページのキャッシュポイズニング | 15.5.27 / 16.3.8 |
| GHSA-mcj8-r9mp-w47p / CVE-2026-94484 | Medium | ルート直下のcatch-allとSSG・ISRの併用時の共有キャッシュ汚染 | 15.5.27 / 16.3.8 |
| GHSA-f87g-xv8r-7p7x / CVE-2026-94485 | Medium | webpackでビルドしたApp Routerで、メタデータ画像ルートが dynamicParams を無視する | 15.5.27 / 16.3.8 |
| GHSA-3w37-wq28-93x7 / CVE-2026-94544 | Medium | use cache とDraft Modeのリクエストが重なり、未公開の内容が通常の閲覧者に見える | 16.3.8 |
| GHSA-h694-7cp9-m8p3 / CVE-2026-103004 | Medium | 入れ子の use cache で、root paramの値ごとのキャッシュが取り違えられる | 16.3.8 |
| GHSA-39w2-rjm5-chcv / CVE-2026-94486 | Low | next dev のMCPエンドポイントから開発中の情報を読み取られる | 16.3.8 |
予告では9件でしたが、Critical 1件とHigh 1件は上流の依存関係との調整待ちで延期されました(September 2026 Security Release)。どの設定を使っていると該当するかは、9月30日のリリースの解説にまとめています。
9月22日:臨時リリース(16.3.6 / 15.5.26)
| 番号 | 深刻度 | 内容 | 影響する版 | 修正版 |
|---|---|---|---|---|
| GHSA-vcvr-r3jv-pc5j / CVE-2026-94545 | Critical | Node.jsランタイムの next/og の ImageResponse でのリモートコード実行 | 16.2.0以上 16.3.6未満 | 16.3.6 |
影響するのは、外部から受け取った値をSVGの中身・属性・スタイルに入れて画像を生成している場合です。Edgeランタイムの ImageResponse を使っている場合と、外部の値をSVGに入れていない場合は対象外とされています(GHSA-vcvr-r3jv-pc5j)。OG画像を動的に作るルートで、クエリパラメータの値をそのままタイトルに入れている構成は確認対象です。
8月25日:臨時リリース(16.3.3 / 15.5.24)
| 番号 | 深刻度 | 内容 | 影響する版 | 修正版 |
|---|---|---|---|---|
| GHSA-2xp9-vwfh-vxw4 | Critical | AVIF画像を最適化する際の、認証なしのリモートコード実行 | 10.0.0以上 15.5.24未満、16.0.0以上 16.3.3未満 | 15.5.24 / 16.3.3 |
| GHSA-p293-qw3h-jr36 / CVE-2026-75604 | Critical | Windows上のサーバーでの、認証なしのリモートコード実行 | 13.4以上 15.5.24未満、16.0以上 16.3.3未満 | 15.5.24 / 16.3.3 |
GHSA-2xp9-vwfh-vxw4は sharp が内部で使う libheif の脆弱性に由来し、修正版ではAVIFの最適化自体が無効化されています。GHSA-p293-qw3h-jr36は、Pages RouterとApp Routerを併用し、Cache Componentsを使っていないアプリがWindows上で動く場合が対象で、公式ブログでは回避策がないと明記されています(August 2026 Security Release)。
7月21日:定期リリース(16.2.11 / 15.5.21)
| 番号 | 深刻度 | 内容 | 修正版 |
|---|---|---|---|
| GHSA-p9j2-gv94-2wf4 / CVE-2026-64645 | High | rewritesで攻撃者が宛先ホスト名を指定できる場合のSSRF | 15.5.21 / 16.2.11 |
| GHSA-89xv-2m56-2m9x / CVE-2026-64649 | High | カスタムサーバーでのServer Actions経由のSSRF | 15.5.21 / 16.2.11 |
| GHSA-6gpp-xcg3-4w24 / CVE-2026-64642 | High | Turbopackと単一ロケールを使うApp RouterでのMiddleware / Proxyの迂回(16系のみ) | 16.2.11 |
| GHSA-m99w-x7hq-7vfj / CVE-2026-64641 | High | Server Actionsを使うApp Routerでのサービス拒否 | 15.5.21 / 16.2.11 |
| GHSA-4c39-4ccg-62r3 / CVE-2026-64646 | Medium | EdgeランタイムでServer Actionのペイロードに上限がない | 15.5.21 / 16.2.11 |
| GHSA-68g3-v927-f742 / CVE-2026-64648 | Medium | ボディ付きリクエストでレスポンスが取り違えられるキャッシュ混同 | 15.5.21 / 16.2.11 |
| GHSA-4633-3j49-mh5q / CVE-2026-64647 | Medium | 不正なUTF-8を含むボディでのキャッシュ混同 | 15.5.21 / 16.2.11 |
| GHSA-q8wf-6r8g-63ch / CVE-2026-64644 | Medium | SVGを使ったImage Optimization APIのサービス拒否(15.5.0以上) | 15.5.21 / 16.2.11 |
| GHSA-955p-x3mx-jcvp / CVE-2026-64643 | Medium | 内部のServer Functionエンドポイントが認証なしで分かる | 15.5.21 / 16.2.11 |
この回から、Next.jsは事前に日付を告知する定期リリースの運用を始めています(運用開始の告知、July 2026 Security Release)。9月30日の予告も同じ運用です。
5月6日・7日:定期リリースと追補(16.2.5 / 15.5.16、追補 16.2.6 / 15.5.18)
| 番号 | 深刻度 | 内容 | 修正版 |
|---|---|---|---|
| GHSA-492v-c6pp-mqqv / CVE-2026-44574 | High | 動的ルートのパラメータ注入によるMiddleware / Proxyの迂回 | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-267c-6grr-h53f / CVE-2026-44575 | High | segment-prefetchルート経由のMiddleware / Proxyの迂回(App Router) | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-26hh-7cqf-hhc6 / CVE-2026-45109 | High | 上記GHSA-267c-6grr-h53fの修正に漏れがあった件の追補(5月7日) | 15.5.18 / 16.2.6 |
| GHSA-36qx-fr4f-26g5 / CVE-2026-44573 | High | i18nを使うPages RouterでのMiddleware / Proxyの迂回 | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-c4j6-fc7j-m34r / CVE-2026-44578 | High | WebSocketのアップグレードを使うアプリでのSSRF | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-mg66-mrh9-m8jx / CVE-2026-44579 | High | Cache Components使用時の接続枯渇によるサービス拒否 | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-8h8q-6873-q5fj / CVE-2026-23870 | High | Server Componentsでのサービス拒否 | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-ffhc-5mcf-pf4q / CVE-2026-44581 | Medium | CSPのnonceを使うApp RouterでのXSS | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-gx5p-jg67-6x7h / CVE-2026-44580 | Medium | 信頼できない入力を渡した beforeInteractive スクリプトでのXSS | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-h64f-5h5j-jqjh / CVE-2026-44577 | Medium | Image Optimization APIでのサービス拒否 | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-wfc6-r584-vfw7 / CVE-2026-44576 | Medium | React Server Componentsのレスポンスでのキャッシュポイズニング | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-vfv6-92ff-j949 / CVE-2026-44582 | Low | RSCのキャッシュ回避用の値の衝突によるキャッシュポイズニング | 15.5.16 / 16.2.5 |
| GHSA-3g8h-86w9-wvmq / CVE-2026-44572 | Low | Middleware / Proxyのリダイレクトのキャッシュポイズニング | 15.5.16 / 16.2.5 |
Middleware / Proxyでの認可チェックを迂回できる件が、5月だけで4件あります(7月にも1件)。ログイン確認をMiddleware(16系ではproxy.ts)だけに任せている構成では、影響の確認を優先します。認可をどこに置くかは社内システムの権限設計をNext.js 16でどう実装するかで扱っています。
4月8日:16.2.3 / 15.5.15
| 番号 | 深刻度 | 内容 | 修正版 |
|---|---|---|---|
| GHSA-q4gf-8mx6-v5v3 / CVE-2026-23869 | High | Server Componentsでのサービス拒否 | 15.5.15 / 16.2.3 |
3月16日:16.1.7 / 15.5.13・15.5.14
| 番号 | 深刻度 | 内容 | 修正版 |
|---|---|---|---|
| GHSA-ggv3-7p47-pfv8 / CVE-2026-29057 | Medium | rewritesでのHTTPリクエストスマグリング | 15.5.13 / 16.1.7 |
| GHSA-3x4c-7xq6-9pq8 / CVE-2026-27980 | Medium | next/image のディスクキャッシュが上限なく増え、ストレージを使い切る | 15.5.14 / 16.1.7 |
| GHSA-mq59-m269-xvcx / CVE-2026-27978 | Medium | Originがnullのリクエストで、Server ActionsのCSRFチェックを迂回できる(16系) | 16.1.7 |
| GHSA-h27x-g6w4-24gq / CVE-2026-27979 | Medium | postponed resumeのバッファが上限なく増えるサービス拒否(16系) | 16.1.7 |
| GHSA-jcc7-9wpm-mj36 / CVE-2026-27977 | Medium | 開発サーバーの内部エンドポイントで allowedDevOrigins の保護を迂回できる(16系) | 16.1.7 |
1月26日:16.1.5 / 15.5.10
| 番号 | 深刻度 | 内容 | 修正版 |
|---|---|---|---|
| GHSA-h25m-26qc-wcjf / CVE-2026-23864 | High | Server Componentsでのサービス拒否 | 15.5.10 / 16.1.5 ほか各系列 |
| GHSA-9g9p-9gw9-jx7f / CVE-2025-59471 | Medium | Image Optimizerでのサービス拒否 | 15.5.10 / 16.1.5 |
| GHSA-5f7q-jpqc-wp7h / CVE-2025-59472 | Medium | Partial Pre Renderingでのサービス拒否(16系と15系のcanary版) | 16.1.5 |
表を下からたどると、1月の修正版は16.1.5でした。16系はそこから3月・4月・5月・7月・8月・9月の修正を経て、16.3.8になっています。修正は後の版に引き継がれるので、16.3.8に上げればこの表の16系の修正はすべて入ります。一方で、上げる幅が大きいほど、検証で確かめる挙動の変化も増えます。更新の前に「最後に当てた版」以降の行を見て、自社で使っている機能に関わるものを洗い出しておくと、検証する画面を絞り込めます。

